石垣島はアートが芽生える島だった

岡田智博 アートプロデューサー 『あいかる』編集長

八重山が持つ風土を魅力に感じて、多くの表現が生まれていることを背景に、この数年、島に関係するアーティストの作品を企画展示するアートスペースが増えています。契機になったのは2013年に市と民間が協働して島に縁のあるクリエイターの活動プラットフォームである「石垣島 Creative Flag」が立ち上がり、表に島を拠点に国内外で活躍するアーティストの姿が作品とともに見えはじめたことがあげられます。
石垣島での展開の特徴として、ホテル内に企画展示スペースを開設したり、私営の美術館を開くなど、島の人々が自ら創り出してきたことがあります。加えて、現代美術を中心に広く国内外から展開する企画を実施するアートセンターの機能をもった場が今月より展示を開始、どんどんアートが芽生える島という新たな顔を持ちつつあります。

歩いてまわれる島のアートスペース

アートやクリエイティブに対する思いが詰まった島のアートスペース。それぞれの場所の展示が個性となってあらわれています。多くは一部屋程度の小さなスペースですが、全て市街地の中心部にあり、歩いてまわることができます。まち歩きの楽しみとして、雨の日のアクティビティとしてもおすすめです。

現代アートの企画ギャラリーが誕生
シマノバ内アーツギャラリー

近代建築の大家である前川國男が設計した石垣市民会館。島の文化を反映した意匠は、魅力ある昭和の建築として知られています。この空間の良さを活かした創造拠点シマノバに、現代アートを中心とした企画や展示を行うギャラリーが誕生しました。
最初に実施する企画展は、石垣市民会館の建物の魅力を石垣島の40年間の歴史とともに振り返る資料と市民による写真で展開する『島とたてものとわたしたち』(3月1日~14日:史料展示/~5月12日:作品展示)。
次にアートワールドで流行が広がりつつある「嗅覚のアート」を石垣島から世界へと広げる第一人者 Maki Ueda による、匂いによる石垣島再発見を体験できる作品展『トロピカル・レインフォレスト・バイオーム』を2部構成(第一部:3月16日~3月31日/第二部=滞在制作による新作:4月17日~5月12日)で展示します。
アートを通じて市民が創る可能性、そして、石垣の自然が生み出した世界最先端の芸術という、アートを媒介に島で生まれるケミストリーを実感してください。
=シマノバ 石垣市浜崎町1-1-2 石垣市民会館大ホール棟2F TEL: 050-5438-3927 入場無料

日本最南端の写真美術館
写真美術館MIRA

写真美術館MIRA(ミラ)は、作品としての写真の魅力を高める展示に取り組んでいます。画面上ではなく、写真本来の魅力であるプリントされた実物の作品の感動を知ってもらいたい、と自らの手で私立美術館としてつくり上げた井戸巌也館長。世界の美術館を巡って構想するうちに、ライティングや展示空間づくりでその感動が高まることを知り、作品がいちばん映える展示を自身の手で手がけています。
現在開催中の企画展は、写真家6名(谷角靖、深澤武、Atsushi、河野沙苗(BLUE BEAT)、marina、mizuphoto)による『第二回展』(~5月12日:入場1,500円:離島住民割1,000円)。
館長の思いが演出となり、それぞれの作家による作品の見応えを高めている、写真美術館です。
= 写真美術館MIRA 石垣市大川201-3 TEL: 0980-87-6091

島のクリエイティブを企画展示で紹介
ホテルエメラルドアイル石垣島

築30年のホテルをリノベーション、島内外のクリエイターの作品を展示したり、創作や発表の場を提供することで、文化を通じた交流が盛り上がるソーシャルライジングを特徴としたホテル。2階にあるロビーでは、島のクリエイターを取り上げた企画展が常時開催(入場無料)されています。現在開催中の企画展は、時の中で強い日差しと雨風にさらされた進行形の色彩が生み出す、島の暮らしの身近な寂びをテーマにした中西康治写真展『アイエヌジーイシガキ/アイエヌジーヨナグニ』(~3月14日)、沖縄の絵本作家shanti shanti製咲所による展示や読み聞かせ(カレンダー面参照)『絵本の中からこんにちは ~しまうまウーマ石垣島へ行く!~』(3月23日~4月14日)。
ポップアートから写真、デザイン、工芸まで、幅広いジャンルにおいて島に縁のあるクリエイターの作品に触れられるギャラリーです。
= ホテルエメラルドアイル石垣島 石垣市美崎町7-14 TEL: 0980-82-2111

島の風土と環境の奥深さを感じさせる企画展示
アートホテル石垣島

伝統や風土に根ざした手仕事や、地域資源などの視点から生まれた作品を、島のものと一緒に展示をするなど、趣向を凝らした企画展示をしているのが、アートホテル石垣島。現在開催中の企画展は、『植物の力・島の知恵展』(~4月21日)。ボタニカルアーティストの橋爪雅彦氏による植物絵画と写真、写真家中西康治氏による南国の風土を反映した写真のスライドショーによって構成されています。
= アートホテル石垣島 石垣市大川559 TEL: 0980-83-3311

この記事を書いた人

岡田智博 Okada Tomohiro

島では一般社団法人ブルーオーシャン代表として「シマノバ」づくり(ディレクターです)を、全国やアジアではクリエイティブクラスター代表として文化や先端的ななにかでいろいろな人が新しいことを始められる活動をしています。『石垣市文化観光振興プラン』つくりました。